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馬産地往来

2013年12月25日

ホッカイドウ競馬 売上大幅増

22年ぶりに単年度収支も黒字へ

後藤 正俊

 地方競馬の話題というと、どうしても「廃止」などに関する暗いものが多かったのだが、久しぶりに明るい話題で原稿を書くことができる。11月14日に今年度の開催を終えたホッカイドウ競馬が、22年ぶりに「黒字」となる可能性が極めて高くなったのだ。
 2013年度の売り上げは140億1700万円で、前年度比16・8%の大幅増。10月16日には台風の接近で中止となり、開催は予定より1日減の79日間だったが、それでも計画額の127億5900万円を9・9%上回った。
 前年度比プラス、計画額達成はともに3年連続だったが、11、12年は開催終了後の冬期間の他場発売が予定額に満たなかったため、収支としては赤字になった。13年度は黒字幅が大きいため、1991年度以来22年ぶりの単年度収支黒字が達成される見通しとなっている。
 黒字化の直接的な要因としては、やはりJRAとの連携が大きい。12年10月からIPATで地方競馬馬券の発売が開始。ホッカイドウ競馬では13年度59日間の発売が行われた。このIPATによって約10%程度売り上げが伸びている。また競馬場や場外発売所でJRA馬券を発売する「J─PLACE」の販売手数料収入も順調に伸び、この「J─PLACE」化によってホッカイドウ競馬の新規ファン開拓という効果も出た。
 このような連携は他の地方競馬でもほぼ同様に行われているが、そのなかでホッカイドウ競馬が黒字を達成できたのは、レースレベルの高さがJRAファンに認知され、売り上げに結びついたのだと考えられる。
 これまでも2歳馬は全国トップレベルにあったが、13年2歳馬は、12年春から供用が開始された屋内調教用坂路コース(全長900メートル、幅員10メートル、中心部の勾配3・5%)で初期調教から行っている世代で、早くもその効果が出始めている。
 ホッカイドウ競馬でイノセントCなど5戦3勝(JRAでの1戦未勝利を含む)の星を引っ提げてJRA入りしたニシケンモノノフ(牡、父メイショウボーラー、母グリーンヒルコマチ)は、その初戦の500万条件を快勝すると、兵庫ジュニアグランプリも連勝し、2歳ダート界をリードする存在となっている。
 またコスモバルクと同じ岡田(繁幸)オーナー、田部和則調教師のコンビで地方競馬所属のまま芝レース挑戦を行っているプレイアンドリアル(牡、父デュランダル、母シルクヴィーナス)は、盛岡・ジュニアグランプリで岩手王者のライズラインに6馬身差をつける圧勝を演じ、JRAの東京スポーツ杯2歳Sはイスラボニータに首差の2着。コスモバルク級の活躍が期待される成績を残している。
 地元のダートグレード競走は、北海道2歳優駿をハッピースプリント(牡、父アッミラーレ)が優勝し、3着にエイシンホクトセイ(牡、父シンボリクリスエス)、エーデルワイス賞はラブミーブルー(牝、父サウスヴィグラス)が2着。遠征では、ニシノデンジャラス(牡、父スペシャルウィーク)が川崎・鎌倉記念、クライリング(牝、父ハーツクライ)が川崎・ローレル賞、ナイトバロン(牡、父ティズナウ)が船橋・平和賞、カクシアジ(牝、父スウェプトオーヴァーボード)が園田プリンセスカップ、笠松・プリンセス特別とグランダム・ジャパンシーズン連勝、ゴオリイ(牡、父サウスヴィグラス)が盛岡・知床賞など全国の2歳重賞をホッカイドウ競馬所属馬、出身馬が席巻した。これだけの成績を挙げ続けていれば、JRAファンもホッカイドウ競馬の2歳戦に自然と興味が沸いてくるものだ。
 坂路をはじめ「強い馬づくりこそ、苦境脱出の最終手段」という信念の下、さまざまな施策に取り組んできた主催者、自己所有の良血馬をホッカイドウ競馬からデビューさせるなど惜しみない協力を行ってきた生産者、サポーターズクラブに参加するなど馬産地競馬を守ろうと熱心に応援したファンの三位一体が、22年ぶりの黒字を勝ち取ったといえるだろう。

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