2010年4月27日
今年の新種牡馬もブレイク必至
ディープ産駒がいよいよデビュー
「新種牡馬の産駒は活躍する」は馬産地の定説になっている。この5年間を見ただけでも、05年アグネスタキオン、クロフネ、06年タニノギムレット、ジャングルポケット、マンハッタンカフェ、07年シンボリクリスエス、ゴールドアリュール、ゴールドヘイロー、08年ネオユニヴァース、キングカメハメハ、09年ゼンノロブロイと、初年度産駒から大ブレイクを果たしている。
これにはいくつかの理由が考えられるが、新種牡馬が持つ“未知の魅力”が馬主層に高い人気を得ている点や、サンデーサイレンスの登場以降、内国産馬のレベルが年々高まっている点が主に挙げられるだろう。今年の新種牡馬はレースレベルがもっとも高かったといわれている04~06年に活躍した馬たちだ。
その中心がディープインパクトであることは誰もが認めているところ。これまでのサンデーサイレンス種牡馬の活躍ぶりを見れば、彼らよりもはるかに傑出した競走成績を残したディープインパクトへの種牡馬としての期待が高まるのは当然のことで、交配牝馬のレベル、頭数でも群を抜いている。初年度産駒はブエナビスタの半弟、キングカメハメハの半妹など147頭が登録されている。サンデーサイレンス種牡馬のなかにはフジキセキ、スペシャルウィークなど初年度産駒だけが不振だった種牡馬が多かったが、育成の工夫などで改善されてこの数年はネオユニヴァース、ゼンノロブロイなど初年度から大ブレイクを果たしている。ディープインパクトも初年度産駒からきっちりと結果を出すはずだ。
敢えてウィークポイントを探すと、ディープインパクト自身が小柄な馬体(引退レースの有馬記念は438キロ)だったことから、産駒も総じて小柄で“見栄え”という面ではやや見劣っていること。セレクトセールでの取引価格が、種付料と比較すると低かったのはその馬体の影響が大きかった。
だがそれは同時にセールスポイントでもある。サンデーサイレンス系の特徴は強烈な瞬発力だが、あまりにも切れすぎるために脚部不安でリタイアする素質馬も多かった。その点、小柄なディープインパクト産駒は故障のリスクが軽減されることが予想される。高速決着が多くなり、以前よりもさらに丈夫さが求められている時代だけに、ディープインパクトの種牡馬としての成功は約束されている。
そのディープインパクトに日本馬では唯一先着しているハーツクライは、種牡馬としても強力なライバルになる。初年度の産駒頭数は79頭とディープインパクトの半分強だが、生産牧場でもある社台ファームが良血繁殖牝馬多数と配合しているので、血統レベルは高い。
サンデーサイレンス×トニービンというリーディングサイアー同士の配合は、すでにアドマイヤベガが成功している。やや奥手の印象はあるものの、骨格のしっかりとした産駒が多いので、古馬になって大成しそうだ。ドバイ・シーマクラシック制覇、キングジョージ3着の実績からディープインパクト以上に国際的な注目度も高く、初年度産駒の成績次第では海外からの各種オファーも予想される。
「ビッグネーム」という面ではむしろディープインパクト以上なのが欧州年度代表馬ロックオブジブラルタル。GI7連勝の世界記録を樹立して・ザ・ロック・の愛称で欧州ファンに愛された至宝だ。すでに産駒はマウントネルソン(エクリプスSなど)、イーグルマウンテン(香港Cなど)が活躍している。1年だけの供用となったものの、ダンシングブレーヴ以来の超大物種牡馬の日本供用となった。120頭の配合枠に485頭もの申し込みがあったということからも、馬産地の期待の大きさがよく分かる(産駒頭数は93頭)。産駒も父同様に筋肉量豊富で、明らかなスピードタイプが多い。デインヒル系は日本でも実績があり、2歳リーディングサイアーの大本命になりそうだ。
その他、豪州で種牡馬として輝かしい実績を残しているスニッツェル(産駒49頭)、父サンデーサイレンス、母ビワハイジという血統が大きな魅力のアドマイヤジャパン(産駒62頭)、産駒頭数はディープインパクトに次ぐリンカーン(産駒114頭)、ジャリスコライトやナイアガラなど日本でも活躍産駒を多数輩出しているファンタスティックライト(産駒107頭)ディープインパクトの全弟オンファイア(産駒78頭)などの豪華布陣がスタンバイしている。
2歳リーディングのベスト10に新種牡馬が3~4頭を占める可能性すらありそうだ。