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馬産地往来

2008年10月1日

社台スタリオン勢は4千頭突破

日高はケイムホームとビッグレッド勢

後藤正俊

 胆振、 日高の主要種馬場で今春供用された種牡馬の種付け頭数がこのほどまとめられた。 今年も圧倒的な成績を残したのは安平町早来の社台スタリオンSで、 30種牡馬の供用で計4216頭との交配を行った。
 今年の特徴は 「分散型」 だ。 昨年はネオユニヴァースが251頭と交配したように、 1~2頭の種牡馬に極端に人気が集中するのがこれまでの傾向だったが、 今年の最多交配種牡馬は229頭のアグネスタキオンで、 久しぶりにトップが230頭を切った。 だが200頭以上と交配したのは過去最高となる10種牡馬。 80頭未満だったのは高齢になったサッカーボーイやトウカイテイオーなど6種牡馬しかいなかった。
 何頭以上と交配すると“種付け過多”なのかははっきりしないが、 人気の分散が人気種牡馬の負担を和らげていることは確か。 群雄割拠の理想的な形が出来上がってきたといえる。
 だがそのなかでも“エース”はアグネスタキオンで間違いない。 1000万円の高額種付け料でもこれだけの交配を集めたように、 その信頼は絶大だ。 確かに今春はディープスカイ、 キャプテントゥーレと活躍馬を送り出したが、 決して一過性の人気ではなく、 確固たる地位を築いている。 ディープスカイがダービーを制して距離に対しての融通性も見せたことは、 来春以降にさらに人気を高める要因となるはずだ。
 昨年より10頭増の216頭を集めたディープインパクト、 初供用ながらフジキセキと並んで2位となる223頭と交配したダイワメジャーらは、 今後の産駒の活躍次第でアグネスタキオンに肩を並べる可能性を持っているが、 初年度産駒から結果を出さないと一気に人気を落とす危険性も同時に秘めているといえそうだ。
 非サンデーサイレンス系ではジャングルポケット221頭、 シンボリクリスエス217頭、 クロフネ211頭、 タニノギムレット191頭などがいるが、 こちらもまだ確固たる地位を確立しているわけではなく、 今後は大きく変動していきそうだ。
 むしろ注目は3年ぶりに復活して39頭と交配したウォーエンブレムだろう。 初年度4頭だけの産駒はいずれもJRAで勝ち上がり、 このうち2頭がオープン入り。 2年目産駒からは早くも3頭の重賞ウイナーが誕生し、 今春のクラシック戦線を大いに賑わした。 種牡馬としての能力はサンデーサイレンスにも見劣らないものを持っている。 牝馬に興味を示さない“病気”の治療がずっと続けられてきたが、 種付けシーズン終盤になって現場復帰をして39頭と交配できたのだから、 このまま順調なら来季はシーズン当初からフル稼働することも可能。 シンジケート再結成の動きも出てくるかもしれない。
 日高地区ではJBBA静内種馬場で供用された新種牡馬ケイムホームが175頭でトップとなった。 JBBA種牡馬はこれまで配合予定頭数を超える交配を行うことはあまりなかったが、 馬産地からの要望もありケイムホームは110頭の予定を大きく上回る頭数となった。
 アグネスデジタル (159頭)、 ロージズインメイ (150頭)、 マイネルラヴ (144頭) と2~4位はいずれも新冠・ビッグレッドファーム供用種牡馬が占めた。 供用頭数は9頭と多くはないが、 平均種付け頭数は95頭でこれは日高地区トップの数字だ。 昨年から56頭減となる73頭との交配に終わったステイゴールドは今年に入って産駒の活躍が際立っており、 来年は大幅増が確実。 91頭のイーグルカフェも初年度産駒が好調で、 こちらも来年は数字を伸ばすだろう。
 岡田繁幸氏は 「社台グループとの最大の差は、 自牧場に優秀な種牡馬がいるかどうか。 その差を埋めるためにリスクを冒しても種牡馬を導入していかなくてはならない」 と種牡馬事業に本格的に取り組んできただけに、 布陣が整いつつあることはマイネル・コスモ軍団のさらなる飛躍につながっていくはずだ。
 いま日高でもっとも注目されている新ひだか町・中村畜産のゴールドヘイローは96頭との交配だったが、 来春は一気に200頭の大台突破も狙えそうだ。

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