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馬産地往来

2008年12月1日

問題山積の道営再建策

存続には産地が一丸になった体制を

後藤 正俊

 08年度のホッカイドウ競馬が11月20日の門別開催で全日程を終了した。 82日間の売り上げ総額は113億9151万円で、 前年対比95・6%、 計画対比92・9%と、 インフルエンザ騒動で開催中止や出走頭数減少があった昨年度よりも大きく落ち込んでしまった。
 特に秋の門別開催は計画対比79・1%という厳しい結果で、 来年度からはこの門別競馬場を主戦場とすることになった新生・ホッカイドウ競馬にとって、 いかに門別開催を売り込んでいくかが生き残りを賭けた最大のポイントとなってくる。
 11月17日に札幌市内で行われた北海道地方競馬運営委員会ではこの08年度の結果が委員に報告され、 一部では質疑応答も行われた。 だがその内容は、 とてもこれから新しい競馬をやっていこうという意欲が感じられるものではなかった。 運営委員会といえば知事の命を受けて召集された、 極めて責任の重い重要な会議であるはずだが、 12人の委員のうちこの日の出席者は7人だけ。
 そのメンバーも 「広く経済界や大学・マスコミ、 産地関係者により組織する」 という考えから、 直接的に“馬”に関係しているのはビッグレッドファームの岡田繁幸氏、 下河辺牧場の下河辺俊行氏の2人だけ。 北海道軽種馬振興公社の理事長を務める三輪茂日高町長を含めても、 過半数は競馬に関しての知識がほとんどない。 確かに幅広い考え方は必要だろうが、 競馬を知らない人の意見が“運営”に直接結びつくことはない。 「観光と関連付けるのが重要」 などという意見に間違いはないが、 問題なのはその先の具体策なのだ。
 また道農政部の姿勢も疑問に感じる部分が多かった。 主戦場となる門別競馬場の改築はすでに工事がスタートしているというのに、 リニューアル計画を委員が知ったのはこの日が初めて。 岡田委員、 下河辺委員からは 「改築するのであればファンからもっとも不評を買っている駐車場の位置をスタンドの近くにするべき」 「安い賞金のホッカイドウ競馬に馬を預けている馬主さんにとって、 表彰されることが大きな満足になっているのだから、 ウィナーズサークルはファンがよく見られる位置に」 という要望が出されたものの、 道からの回答は 「もう工事が進められているので変更はかなり難しい」 「予算がない」。 なぜ、 設計する前から運営委員会に諮らなかったのか、 大きな疑問だ。
 工事の遅れも心配だ。 新スタンド、 ナイター設備など11月末の時点ではまだほとんど手が付いていない状況。 果たして来年4月の開幕までに間に合うのだろうか。
 本来なら、 門別に馬がほとんどいなかった旭川開催の時期に工事を行ってしまうのが当然のスケジュールのはずだった。 たとえ突貫工事で間に合ったとしても、 開催終了後の冬季間は1歳馬が入厩してきて各厩舎では馴致が行われている。 1歳馬の馴致がどれだけ危険で繊細なものなのかは関係者なら誰でも知っているのに、 その時期に工事をやろうというのは現場軽視と思われても仕方がない。
 道に要望するのは、 まずは1月末で任期満了となる運営委員会の改選委員には競馬にくわしい人をそろえること、 井村勝昭専務が率いる北海道軽種馬振興公社の“後方”支援を行うことの2点だ。 09年度開催計画の基本的な考え方として 「軽種馬振興公社に“競馬の実施に関する事務”を委託し本格的な産地競馬の展開を図ることとする」、 その実施手法として 「道は効率的・効果的な競馬の実施に向けた公社の提案が競馬開催に具体的に活かされるよう、 最大限の裁量の付与に努める」 と明確に書かれている。
 だがここまでの経緯を見ていると、 どうしても道が 「最大限の裁量の付与に努めている」 とは思えない。 仕切りたがりの役人が実権を手放さないでいたら、 これまでの失敗を繰り返すだけだろう。
 JRA時代から業務畑で辣腕を振るい、 BTC所長を長く務めるなど馬産地にも極めて造詣が深い井村専務のリーダーシップのもと、 社台グループ、 ビッグレッドファーム、 下河辺牧場、 中村畜産など馬産地が一丸となって力を合わせる体制が整えば、 新・振興公社は強力な組織となる。 道がその振興公社の行動をサポートしてくれれば、 ホッカイドウ競馬存続は現実味を帯びてくるはずだ。

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