2006年8月1日
さらに透明なセールに
レポジトリーの意義と効果
7月10日から12日までの3日間にわたって開催された 「セレクトセール2006」 は、 史上空前の117億5450万円 (消費税別) もの売り上げを記録して無事に終了した。
8年ぶりに復活した初日の1歳市場は、 上場馬165頭のうち109頭が売却されて、 売却率66・1%、 売却総額は34億1400万円にのぼった。 2日目、 3日目の当歳市場には304頭が上場されて221頭が売却となり、 売却率は72・7%、 売却総額は83億4050万円を記録した。
当歳市場では、 売却率こそ昨年実績を下回ったものの、 売却総額は2年連続のレコード更新となった。 当歳馬の世界レコードとなる6億円馬をはじめ、 1億円馬も昨年の7頭から14頭に倍増し、 3日間通して大変活気にあふれたセールとなった。
あらためて、 セールに参加された購買者の皆様、 上場していただいた生産者やコンサイナーの皆様、 そしてセールに携わったすべての皆様に心よりお礼を申し上げる次第です。 本当に有り難うございました。
セレクトセールが終わったあとで毎度再認識するのは、 誰もが手に入れたいと思うような素晴らしい馬が、 競り市という公正で透明な舞台に上場され、 誰もがセールに参加できるからこそ、 セレクトセールが成功を収めているという事実だ。 その成功を支えるべく、 主催者側はさまざまな演出をして、 気持ちよく上場馬を買っていただけるような環境をつくり、 最大限のホスピタリティをもって購買者の方々を接遇しているのである。
そして、 これらセレクトセールで取り引きされた馬たちは、 競走馬として素晴らしいパフォーマンスを示すことによって多くの人々に夢と感動を与え、 たくさんのファンを競馬場に招くとともに、 購買者の方々を次なるセールに呼び寄せることになる。 この繰り返しがセレクトセールの成功をもたらし、 さらには競馬界の発展につながっているものと確信している。
今回、 私は 「レポジトリー」 (1歳馬の獣医学検査資料の保管・閲覧室) の担当者としてその運営にあたり、 セール開始前の7月8日 (土) から10日 (月) の1歳セール終了時まで、 3日間にわたって上場馬の検査資料を公開する業務に携わった。
1歳セールの再開にあたって初めて開設されたこの 「レポジトリー」 には、 3日間で33名の獣医師の方々が検査資料の閲覧に訪れた。 上場馬のなかには6、 7人の獣医師から閲覧申請が出された馬もいて、 閲覧件数は111頭の上場馬に対して延べ276件を数えた。
初日の閲覧者はそう多くはなかったが、 セール前日の2日目 (9日) と当日の3日目 (10日) は、 購買登録者から依頼を受けた獣医師の方々が次々とやって来て、 レポジトリー内がごった返すほどの盛況となった。
私はレポジトリーの管理者として、 申請された検査資料を閲覧者の方々に提供しただけなので、 獣医師の方々によるレントゲン写真の読影や内視鏡映像の診断結果がいかなるものだったかは知る由もないが、 セール結果と照合してみると、 高額取引馬の資料には複数の閲覧があったので、 事前に四肢や喉に問題がないことを確認したうえで、 セールに臨んでいることが容易にうかがいしれた。
レポジトリーの開設によって、 血統、 馬体、 歩様といった従来からの馬選びの材料に、 専門家による獣医学的なチェックが加味されることになり、 購買者の方々がより自信を持ってセールに臨めることになったと思う。 レポジトリーの存在が、 セールの透明性と信頼性をさらに高める一助になったはずだ。
また、 今回の資料提出は任意となっていたが、 1歳馬の上場者全員から全165頭の検査資料が提出されたことも、 高く評価されるべきだと思う。 その一方で、 何らかの所見があった馬は、 レポジトリーへの資料提出の段階ですでにチェックされていたようで、 資料が公開される以上、 上場者も獣医学資料に不安のない馬を上場することが強く求められることになる。
レポジトリーの運営は初めての試みであり、 まだまだ不十分な点や来年度に向けて改善が求められる点も多々あるが、 この情報公開システムをさらに多くの方々に利用していただけるよう、 引き続き努力を重ねていきたい。