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日高便り

2010年2月25日

極寒地も種付シーズン

エンドスウィープ系人気沸騰

北海道事務所・遠藤幹

 今年の冬は寒い。2月2日、日高門別の朝の最低気温はマイナス21度を記録、浦河町中杵臼はマイナス27度まで冷え込み、北海道内では比較的温暖といわれる日高も冷凍状態となった。あまりの寒さに我が家の犬は3本足となり(1本は浮かせて冷たさをしのいでいるつもりらしい)、早朝愛犬と散歩に出かけた私は、手袋を二重にはめているにもかかわらず、指先が痛いほどかじかんでしまった。
 それでも春はやってくる。2月6日、ブリーダーズスタリオンではステイゴールドがシーズン第1号の種付業務をこなした。会社前の国道を馬運車が頻繁に往来する季節ももうすぐだ。
 その割には、種付権利の取引はやや低調な状況が続く。昨年12月に社台スタリオンの種牡馬の種付料が発表されたときには、多数の種付申し込みが私の会社にも押し寄せ、おかげさまで取引は活況を呈していたのだが、その後、年が明けてからは低調な状態が続いている。これは当社に限った状況ではなく、日高一円の種牡馬事務局も似通った状況のようだ。
 少し内情を調べてみると、中小に限らず大手牧場も含め、配合種牡馬の決定が2月にずれ込んでいるようなのだ。以前は他のシンジケート株や余勢株を早めに購入し、シーズン前には自分の所有する種付権利と合わせて配合を大方決めておくという流れがあったのだが、今般の受胎条件種付権利が主流のなかにあっては、社台スタリオン種牡馬のような高額種牡馬の権利を押さえたあとは、それに続くセカンドクラスの種付種牡馬を決定するのは、種付シーズンが始まってからでも十分といったムードになっているのだ。昨年も同様な流れを感じたが、今年はその傾向が顕著なようだ。
 種付権利の取引が停滞しているなかにあって、すでに余勢受付が満口となった日高地区の種牡馬がいる。サウスヴィグラスだ。昨年暮れの全日本2歳優駿(GI)を制して2歳ダートチャンピオンに輝いたラブミーチャン、4戦4勝の大器ナムラタイタンなど最近とみに産駒の活躍が目覚ましく、受胎条件80万円の余勢は1月末に満口となった。2003年に大井競馬場でJBCスプリント(GI)を勝ったサウスヴィグラスを私は間近に見たが、栗毛がきらきら輝いたマッチョなボディが大変印象的な馬だった。その父親の競馬成績(ダート短距離戦に強い)を忠実になぞる産駒が多く、遺伝力の確かさも人気上昇の要因だろう。
 日高スタリオン繋用の種牡馬プリサイスエンド産駒のグロリアスノアが1月末の根岸ステークス(GⅢ)に快勝し、こちらも種付申し込みが急増していると聞く。米国に残した産駒成績が好調で、かつ仔出しの良さから毎年100頭以上の種付数を集めていた種牡馬だけに、やはりというか、期待どおりの活躍を示しているといえよう。
 当社事務局馬スウェプトオーヴァーボードも7年連続100頭超の配合牝馬を集めている。芝、ダートを問わず短距離戦でコンスタントに勝ち鞍を上げ、特に毎年秋口の2歳戦ではめっぽう強く、次々と新馬勝ちを収めている。今年は受胎条件80万円の種付料が設定されているが、申し込みが続々と舞い込む状況であり、8年連続100頭超えの配合数もほぼ確定的なものとなっている。
 血統に詳しい方ならお気付きかと思うが、これら日高の人気種牡馬の父はいずれもエンドスウィープである。エンドスウィープ自身は残念ながら早世してしまったが、その卓越した遺伝能力は確実に後継種牡馬に引き継がれ、「ミスタープロスぺクター→フォーティナイナー→エンドスウィープ」と続くサイアーラインは、さらに伸長しようとしている。
 エンドスウィープの残した最大の大物といえば、JC優勝馬アドマイヤムーンだが、果たして種牡馬としての活躍はいかがなものになるだろうか。

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