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日高便り

2020年10月23日

絶好調のホッカイドウ競馬とせり市

北海道事務所・遠藤 幹

 うーんとうならざるを得ない。
 新型コロナ感染の恐れありという「大義名分」の前ではいかんともしがたいのだが、札幌競馬場も地元の門別競馬場も、HBAのせり市も、私自身は顔を出すことができない。テレビやネット環境の中でレースを見たり、せり結果を入手したりすることはいともたやすいことなのだが、得られる情報に臨場感が宿っていない。自宅と会社の往復、ご近所の牧場さんへの訪問などが仕事上の私の行動範囲となっており、正直申し上げると、この拙文のための「ネタ」を仕入れることができないのだ。
 そういった私の状況に関係なく、JRAの夏のローカル開催は終了し、HBAもセレクション、サマー、セプテンバーセールと無事終了した。そういった中から見える「景色」を書き連ねてみたい。

絶好調のホッカイドウ競馬
 9月30日現在、全82日間のうち66日を経過したホッカイドウ競馬。その馬券の発売総額が異次元の伸びを見せている。昨年同時期に265億700万円だった発売総額が、今年は412億2990万円と、前年比156%という大幅増加となっている。ブリーダーズゴールドカップ(Jpn3)が行われた8月13日には、お盆休暇という最大の追い風が吹く中で、17億412万8140円の発売額を叩き出し、1日当たりの過去最高記録も更新した。こうなると次なる目標は1991年に記録した年間発売総額454億円の更新ということになるが、1日当たり約6億2500万円を売り上げている実績を考えると、単純計算で開催終了時の到達点はおよそ512億円と、従来の記録を50億円以上更新することとなる。
 発売額の大幅増加はホッカイドウ競馬に限った話ではなく、地方競馬全体でも1月1日~7月31日までの集計で4800億円を超えており、前年比127%という伸びを示す。JRAも無観客競馬を続けながら、発売総額は前年対比で増加基調にあり、コロナ下で苦しむ業種がある中で、競馬産業は極めて堅調なのだ。
 一部の地方競馬では、制限付きながら観客を競馬場に入場させての開催を行っているが、北海道は開幕以来無観客競馬が続く。もともとネットと競馬の親和性は大変良いと感じていたが、コロナで「巣ごもり生活」が続き娯楽の範囲が限られる中にあって、手元の端末でポチっと投票していただく機会が増えた。特にホッカイドウ競馬においては、従来から競馬場や場外での馬券発売比率が小さく、ネット頼みの発売戦略であったものが、コロナでこの運営方針がもろにはまった。ネットゲームなども爆発的な売れ行きを見せる中にあって、大人版の「ネットゲーム」に競馬が化けたのだろうか。

絶好調の軽種馬せり市場
 そういった下地のある中で開催された8月、9月のHBA各セールは、これまた市場の予想を覆す好調な売れ行きとなった。8月24日のセレクションセールは、223頭の上場馬中184頭が売却、売却率は82.5%(過去2番目)、売却総額35億8930万円(過去最高。金額は税込、以下同)、平均1951万円(過去最高)と、絶好調なせり結果となった。翌日25日から4日間開催されたサマーセールは、セレクションセールの良い流れを引き継ぎ、これまた絶好調。売却総額、平均価格ともサマーセール最高額を記録し、825頭の売却馬のうち実に160頭(前年107頭)が1000万円以上の価格で取引される結果となった。続くセプテンバーセールも絶好調のうちに終了した。
 馬主の皆様も、移動の制限が続き日常の余暇も限られる中にあって、競馬場に行くのもはばかられ、仮に競馬場へ出かけたとしても愛馬の勝利を祝う口取りもできない状況である。競走馬のせり市への参加が、ある意味思う存分競馬を満喫できる唯一の機会になった面もあるのかもしれない。セプテンバーセールでは、熱い競り上げが連日続いたが、秋空さわやかな静内は、日頃の馬主様の大変な生活環境とは隔絶した、日常を忘れさせてくれる、安心して楽しめる環境だったに違いない。ご購買いただいた皆様には、産地で競馬に携わる者として心より感謝申し上げます。

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