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日高便り

2017年12月25日

年の瀬の風景をスケッチしてみた

北海道事務所 遠藤 幹

 12月に入り、馬産地も本格的な冬を迎えた。この原稿を書いている3日は、雪が断続的に降り続き、日高では今シーズン初の積雪となった。秋のセールも好調な結果となり、生産地は2年連続の好況で、何やら安ど感の漂う年の瀬となっているが、そのような中で見聞きした風景をお届けする。
【競馬ブーム復活かも?】
 ジャパンカップの前日、私は東京競馬場内の競馬博物館にいた。奥まった顕彰馬コーナーは人も少なく、30代半ばと思われる男性3人組が、マルゼンスキーの肖像画を前にして、話に夢中になっていた。
 「8戦8勝のマルゼンスキーが、1番苦しんだレースは府中3歳S。ヒシスピードにハナ差で勝ったけど、ヒシスピードって、どんだけ強かったんだろう?」
 「マルゼンスキーとトウショウボーイが対戦したら、どっちが先着しただろうね」
 3人組は、かなりマニアックな内容まで踏み込んで、競馬談義に大いに盛り上がっていた。
 「昔見た風景……」と私は思った。オグリキャップの活躍で大いに競馬の熱気が高まっていた1990年初頭、居酒屋やファミレスで競馬を話題に盛り上がっている若者集団をよく目にした。何やら空気がその時代に似てきているような気がする。第3次競馬ブームは到来するのか……気が付けば、競馬場に来場する若者も増えたように感じるが、果たしてどうだろうか。

【馬を買うのが先か 競馬場に行くのが先か】
 会社にいらっしゃった牧場主から奇妙なことを聞いた。この度、牧場主から1歳馬を購入し、現在地方競馬の馬主資格申請中の方から相談を受けたという。
 「まだ競馬場に行ったことがないという話なので、今度大井競馬場に連れていくことになったんだよね。厩舎とかバックヤードも案内するつもりだけど」
 「景気が良いから、まずはお金を使いたかったんだろうな。馬も本当に好きかちょっとわからないけど。馬を買っていただけるのは大変ありがたいんだけどね……」
 牧場主の方も少々戸惑っていたが、確かに無理もない。馬を買った方が、まだ競馬場に行ったことがないとおっしゃったのはさすがに初めての経験だそうだ。順番が逆ではないかと思ってしまうが、新規馬主さんは、一刻も早くオーナー気分を味わいたかったのだろうか。
【人気種牡馬は満口御礼】
 11月末に、最大手の社台スタリオンステーションの種牡馬種付料が発表となった。当然のごとく種付けの申し込みが殺到し、いくつかの人気種牡馬は、ほどなく受付終了と相成った。一方で日高の種牡馬も、前年にも増して早い時期からの申し込みが激増している。今シーズン日高最多の191頭もの交配数を記録したリオンディーズは、種付料が50万円アップし150万円(受胎確認後支払)に改定されたが、全く人気に陰りを見せることなく、発表とほぼ同時に満口となった。最近ダート競馬を産駒が席巻しているシニスターミニスターは、シンジケート総会で種付料を200万円(受胎条件。前年より120万円アップ)に設定したが、即時満口。ファーストクロップも結果を出した人気種牡馬ヘニーヒューズも満口になったと聞く。
 生産者の皆さんの種付けにかける前のめり姿勢が、前年にも増して顕著なのだ。

 最近、新聞紙上で、マンションの1棟売りの広告を目にするようになった。バブル景気の時の昔見た風景が、また目の前に現れるのか……地に足をつけた冷静なビジネスの姿勢が、これから必要となってくるような気がする。

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